本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

「保母さんにだけはなってはいけないよ」優しい母が真顔になった

 

 私の母は、基本的に子供の気持ちを尊重してくれる人で、子供がやりたいと言うことには基本的に反対せず、いつも笑顔で見守ってくれる人である。

 弟が私のセーラー服を着たり、母の服を着てお化粧をしたりしていた時も、本当は心配だったかもしれないが

「可愛い」

と言って笑っていたし、弟が小学校の卒業記念に同級生と3人だけで自転車とフェリーを使って大阪に旅行するという計画にも賛成していたし、極めつけは、弟が、同級生に誘われて統一教会の子供のための集会に参加するという時も、

「智くんなら、自分にとって必要な宗教かどうかくらい判断できるってお母さんは信じてる」

と断言して送り出したほどの人だ。

 そんな母が、真剣に反対したのが、子供好きの私が保母になることだった。理由はただひとつ。保母は、長時間労働で子供の命を預かるという重大な仕事であるにもかかわらず、低賃金すぎるからだ。

 保母が保育士という名前に変わった今でも、労働環境も待遇もまったく改善されていないようで、国は、一体、何を考えているのだろうかと思う。いや、何も考えてないから、こういう状況が変わらないのか……

 医師並にとまではいかなくても、せめて、保育士の給料が看護師並に改善されるべきなのではないか。もっと、無駄な予算を削って、未来を担う子供の教育にお金をかけてあげるべきではないか……と、現役の保育士さんたちの悲鳴のようなつぶやきを見るたびに思うのだ。