本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「擦」

銀色の部分を擦り君が出て恋愛運は使い果たした

 これ以上好きになれる人にはもう二度と出逢えないのではないかというくらい素敵な人に実らぬ恋をしていると、もう、この先、死ぬまで、両想いの幸せを実感することはないのだろうな、と思う。
 結婚を考えるくらい好きで想い合えていた人を失った時に、この世の中に人が死ぬ以外にこんなに哀しいことがあるのかと思って、毎日のように泣いて、涙も枯れ果てて、彼を失ったショックから立ち直るには仕事に没頭するしかないと思って3つの仕事を掛け持ちしてたこともあったけど、結局、無理がたたって病気になって、でも、いつの間にか、彼のことは素敵な想い出だけになって、恋愛感情はなくなって、尊敬と感謝だけが残った。
 でも、今、好きな人には、大好きなまま一方的に連絡を絶たれて音信不通になったから、気持ちに区切りをつけることができない。しかも、彼は、私以外の人たちとは嬉々として積極的に交流しているようなので、余計に。
 NHK全国短歌大会で、水原紫苑さんが
「短歌の命は恋だ」
とおっしゃってたけど私も心からそう思っているから、いくら、彼が私の恋の歌に不快感を示して私に対して邪険な態度をし続けても、私は、彼を忘れられないうちはずっと彼のことを想って詠み続ける。
 もう、彼との想い出はほとんどなくなってきたから回想して詠むのは不可能になってゆくとしても、彼自身が私に
「つまらない実体験を詠むより面白い虚構の方がいい」
と言っていた言葉に従い、彼をモデルにした虚構の恋の歌を詠み続けてゆくことになるのだろうなと思う。