本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「口」

背伸びしてゴディバの味のくちづけをしたら今夜は小悪魔になる

 ゴディバのチョコレートを食べたのは、後にも先にも1回だけ。昔の恋人と過ごす初めてのバレンタインデーの時だった。
 初めての恋人に渡すからには、美味しいと評判のチョコレートをあげたいと思って、一度も食べたことのないゴディバのチョコレートにしたのだ。
 でも、私も彼も庶民的な味覚の持ち主だったから、
「すごく濃厚だけど、日本のチョコレートの方が美味しいね」
ということになり、翌年からは、日本人ショコラティエの作るチョコレートを渡すようになったのだった。
 
 ゴディバといえば、以前、デパ地下で働いていた時に、ゴディバの店員さんから聴いた話なんだけど、親にブラックカードを持たされた小学生の男の子が、毎日のように友達を連れてゴディバにやってきて、チョコレートを好きなだけ買ってゆくのだという。
 世の中には、すごいセレブがいるものなんだなあと思うと同時に、こんな子供のうちから努力しなくても欲しいものが手に入る環境で育っているこの子とその友達の将来が心配になった。いくら、今、親が資産家でも、バブルが弾けた時みたいに、何が起きるかわからないからなあ、人生は。
 毎日、ゴディバをおやつに食べている少年には、私が美味しいなと思って食べてる明治や森永やロッテのチョコレートは口に合わないのかなあ、なんて思ったりした。