黒歴史上の人物としてでも君の記憶で生きてゆきたい
陽の当たる場所しか歩いたことのない、一点の曇りもない経歴の私の好きな人にとって、私に想われたことは人生の汚点であり、黒歴史なのだろう。
それでも、彼が歳を重ねていって、もうそろそろ死期が近づいてきた頃、ふと、昔を思い出すはずだ。過去に自分のことを心から慕っていた女がいたことを。
そして、彼は気付くのだ。後にも先にも、自分の人生で、その女ほど自分のことを必要としてくれた人はいなかったのではないか、と。
その時、たぶん私はもうこの世にいない。
ひょっとしたら、彼の背後霊として側にいるかもしれないけれど。