本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「涼」

懐かしい友に合わせて涼しげな顔で飲み干すフィンガーボウル

 珍しく今日は実体験ではなく、私が考えるマナーというものについて詠んだ。
 私の高校では、週に1時間、3年間、礼法の授業があって、敬語はもちろん、様々な場面でのマナーや礼儀作法の基本を叩き込まれたのだけど、その最初の授業で習ったのは
「マナーとは人への思いやりを形にしたものです」
ということだった。
 それならば、本来は、指を洗うための水の入っているフィンガーボウルだから、中の水を飲むなんて、すごく行儀の悪いことなんだけれど、もしも、自分と同じテーブルにフィンガーボウルの使い方を知らない人が座っていたとして、その人が先に、中の水を飲んでしまったら、その場で間違いを指摘することもできるんだけど、それは、その人に恥をかかせてしまうことになる。そういう場合、何事もなかったかのような顔で、自分もフィンガーボウルの水を飲み、その食事が終わってから誰もいないところで、
「実はね、あの水は……」
と教えてあげればいい。
 何がなんでも正しいことを通そうとするのがマナーではなく、例え、間違った作法だったとしても、自分の大切な人が楽しい時間が過ごせるように心配りをすることもマナーではないかと思うのだ。