本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第4グループ⑨西鎮さん

 西鎮さんは、シャーチンさんと読むということを先日放送されたNHKの短歌de胸キュンの入選作を読み上げられている時に知りました(遅い!)。西鎮さんも、砂狐さんに続き、私の中では性別不詳の方です。よく私のツイートにいいねを押してくださる方なのに申し訳ないです。
 西鎮さんとはうたの日では同じお部屋になることが多くて、私も何度もハートも♪も贈ってきたくらい好きなお歌が多いので迷いました。


あの街のデパートの地下一階でノスタルジーを買って帰った/西鎮 2019年5月23日お題「デパート」

 
 私は、あまり、短歌の中で「あの」などの指示語が使われるのが好きではないんです。嫌いと言った方がいいのかもしれない。それは、その「あの」は、作者にしかわからないし、「あの」何かに浸れるのは作者だけで、読者に対して不親切だと思うことが多いからです。でも、このお歌の「あの」の使い方はすごく好みでした。
 それは、ほぼ誰にでもデパートに行った経験はあると思うので、具体的な街の名前を出すよりも、あの街とした方が、読者は読みながらそれぞれの想い出のある街のデパートを思い描くことができるからです。
 デパートの地下一階といえば、一般的には食品売り場、いわゆるデパ地下だから、主体が実際に買ったのは、あの街のデパ地下にしかない懐かしい食べ物なのかもしれません。でも、ここでもそれを明確にすることなくノスタルジーと表現したことで、読者は再び自分にとっての懐かしい食べ物を思い浮かべることができて、共感することができます。
 これからも、デパ地下にゆくたびにこのお歌を思い出す人も多いのではないでしょうか。