本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第5グループ①阿坂れいさん

 阿坂れいさんは、うたの日ではかなり先輩で、短歌結社にもずっと入っていらっしゃるけれど、ぜんぜん先輩風を吹かせない方で、私のこともいつも温かく見守ってくださっていてとても感謝しています。
 阿坂れいという筆名はもしかして朝カレーからだろうか?とか、朝食にはよくカレーを召し上がるんだろうか?とか、プライベートは謎に包まれていますが、よく茶目っ気のある発言をされてて、楽しい方です。お歌にも、そんなれいさんの人間性がよく表れているなあと思うものが多いです。



カフェなんて程遠い店おばちゃんの焼きそばセットのほぐれない肉/阿坂れい 2019年1月28日 お題「カフェ」

 読むだけで、地元の昔ながらの喫茶店で焼きそばを食べて珈琲を飲みたくなったお歌です。きっと、このお歌を読んだ多くの人が、自分の記憶の中にある、懐かしい古い喫茶店や食堂など、ぜんぜんおしゃれじゃないし、安いし、味も普通なんだけど、通いたくなるちょうどよい飲食店を思い出して懐かしい気持ちになったのではないでしょうか。
 特に、上手だなあと思うのが下の句。今日、私、たまたまブランチが豚キムチ焼きそばだったんですけど、豚肉の細切れをフライパンで炒める時って、肉同士がくっついてなかなかバラバラにならないまま火が通っちゃうことってよくあるんですよね。おしゃれなカフェ飯ではなく、近所のおばちゃんの焼きそばだから、そんなほぐれない肉が入っていても、誰も文句なんて言わない。地元の人に愛されるお店なのでしょう。
 お店のこともおばちゃんの焼きそばのことも悪く言ってるお歌なのに、すごく温かい。じんわりと心にしみる素敵なお歌です。