本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第10グループ⑨真篠未成さん

 99人目は真篠未成さんです。
 未成さんはうたの日にいらしたのは短い間で、私とは時期が重なってない先輩なんだけど、未成さんのとても優しい眼差しで見る世界は、同じ世界を見ているはずなのにぜんぜん違う新しい世界に思えて、とても影響を受けた歌人のひとりです。私が毎年挑戦している若山牧水青春短歌大賞を教えてくれたのも未成さんでした。今はもう未成さんは短歌とは離れているんだけど、どうしても、彼女のうたの日のお歌を引きたくて、99人目に引かせてもらえないか企画してすぐの頃に伝えたところ快諾していただけました。ありがとうございます!



いつの日か今日の続きをするために夕焼け空に付箋をはさむ/真篠未成 2015年2月27日・お題「付箋」


 なんて美しいお歌なのだろう!と思いました。
 いつの日かとあるので、今日、主体が一緒に過ごしている相手とは、明日からはもう簡単には会えなくなってしまうのでしょう。大人で遠距離恋愛をしているとかなら自力で会いにゆくことができるので、いつの日かとはならない気がします。おそらく、主体も相手もまだ子供で、主体か相手のどちらかが転校することになったのではないでしょうか。でも、いつの日かまた今日の続きをしたいと思うから、今日のことも相手のこともその日まで忘れないように、夕焼け空に付箋をはさみたいと思えるほど、大切な友達なのだろうと想像しました。



0点の子らしか行けぬ国がある×の数だけ世界はあって/真篠未成 2015年5月28日・お題「×」


 子供の頃から不思議なことのひとつに、よく、『ドラえもん』ののび太はテストで0点を取るけれど、実は、これって、何かのものすごい才能があるってことなんじゃないか?普通、授業を起きて聞いていれば、1問ぐらいは解けてしまって0点になることの方が難しいんじゃないか?ということがあります。でも、私の場合は、0点と聞いて思うのはそこまでなんです。
 このお歌は、ものすごく優しいというより、0点を取る子を讃えて、その個性を尊重しているお歌なのが素晴らしいと思いました。
 どうして×となる解答にたどり着いたのか、0点の子たちと丁寧に向き合ってじっくり話を聴くと、何の疑問も持たずに正解にたどり着くこと以上に豊かな発想の話が×の数だけあるかもしれません。
 どんな子供たちとも、こんなふうにおおらかに接してゆける大人になりたいと思えるお歌でした。