本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第8グループ⑩忠さん

 忠さんはTwitterをやってらっしゃらないので、うたの日の中だけでしか存じ上げないのですが、忠さんが参加されているお部屋はたくさんの評があってとても賑やかなのでいいなあと思っています。いつもありがとうございます。
 そんな忠さんのお歌で好きだったのがこちらです。

君のため鉛筆書きにしておいた手帳どんどん空白になる/忠 2020年6月5日・お題「暇」

 君はたぶん、主体の恋人なのだと思います。でも、君は仕事で多忙なのでしょう。会う約束がいつキャンセルになってもおかしくないような仕事なのではないでしょうか。だから、会う約束はするんだけれど、主体は手帳にペンで書き込まずに、鉛筆書きすることにしているのです。いつ君がキャンセルしても消しゴムで消せるように。
 だけど、運悪く、君の都合が悪くなる日が続いてしまって、どんどん予定を消して手帳には空白ができてしまった。主体は不安になっているかもしれません。会えない理由は本当なのか?君の気持ちは自分から離れてしまっているんじゃないのか?など悪い想像をしてしまうかもしれない。
 でも、君のために手帳を鉛筆書きにするような細やかな配慮のできる主体だから、きっと、君のことを責めたりすることはないのではないかなと感じました。気遣いのできる大人の恋のお歌だと思いました。