本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第8グループ⑤真島朱火さん

 この人の筆名はカッコいいなあ!と思う方が何人かいらっしゃるんですけど、真島朱火さんもそのひとりです。名前に色が入っていて、朱火って、痺れます。すごく情熱的な感じがしませんか。
 朱火さんはうたの日を始められたのは2018年の10月なので割と最近なんですけど、朱火さんのお歌は好きなお歌がかなりあって、同じお部屋にいると何度もハートや♪を入れてコメントをさせてきていただきましたので、コメントしていないお歌の中から好きなお歌を選びました。2首あります。


玄関の埃に気づかない君の鈍感さだけ今はやさしい/真島朱火 2019年9月28日・お題「埃」

 このお歌の主体は作者自身だと思いながら読みました。というのも、朱火さんは、精神疾患と闘っていらっしゃることをTwitterで公言されているからです。
 本来の主体は綺麗好きで、掃除もきちんとできる人なのでしょう。でも、病気のせいで、玄関に埃があることがとても気にはなっていて掃除をしたいのに、心と身体が言うことを聞いてくれないのだと思います。でも、主体と一緒に暮らしている君は、主体から見たら鈍感な人なので、埃に気づいていない様子です。君の鈍感さ「だけ」やさしいということは、主体は、玄関を綺麗にできない自分自身のことを責めてしまっていたのではないかと思います。だからこそ、おおらかな君の存在が、主体にとって救いなのでしょう。


マスク越しでも笑顔だと気がついたマッククルーの声は春色/真島朱火 2020年3月13日・お題「マスク」


 今年はコロナウイルスが猛威を振るっていて、どこのお店の店員さんもマスクをして接客をされていますが、このお歌はマクドナルドでの場面です。
 マクドナルドといえば、スマイル0円というくらい、クルーの皆さんは笑顔で接客することが義務付けられているのですが、マスクをしていて目だけしか見えていなくても、笑顔だったと主体は気がついたのです。明るい声で。
 明るい声というのは、確かに、笑顔で口角が上がっている状態でないと出すことはできないものです。コロナ禍で大変な時でも主体が春色だと感じるほどの明るい声で接客をしたマッククルーのプロフェッショナルな仕事。それに敏感に気付いた主体も、おそらく、何らかの接客業を経験してきたのかもしれません。
 もしも、このお歌をマクドナルドのクルーの皆さんが読まれたら、とても励まされるでしょうし、自分の仕事に誇りを持つことができるのではないでしょうか。