本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ③村崎さん

 村崎さんは、Twitterで、フォロー外でもいいですか?と声をかけてくださいました。うたの日デビューも今年の7月で日は浅いんですけど、全然交流のない方にまで声をかけていただけてとても嬉しかったです。
 村崎さん、アイコンが紫色ですけど、筆名もそこからなのでしょうか?そういうことも知らないくらい何も知らない方ですし、出詠してる時間帯が違うので初見のお歌ばかりで、とても新鮮でした。


この中に正直者がひとりだけ神さえ彼を嘘つきと呼ぶ/村崎 2019年8月6日お題「この」

 
 うわ!このお歌、すごすぎる!!と驚いたんですけど、何故か、♪が2つしかついてなくてさらに驚きました。こうなったら、このお歌の何がどうすごいか、私が全力で語りたいと思います。

 この中というのが何人くらいなのかまではわからないけれど、人が集まっている中に正直者はひとりだけしかいないということが上の句で明かされています。でも、正直者であるはずの彼のことを、神までが嘘つきと呼んでいるのです。
 私がこのお歌を読んですぐ頭に浮かんだのは、ガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは、コペルニクスの「地動説」が正しいということを世の中に訴えたけれど、当時は、地球が宇宙の中心で、地球の周りを太陽や星々がまわっているという「天動説」が常識だったので、嘘つき呼ばわりされ、神の教えに反しているとして裁判にかけられたりして、迫害されたからです。
 このお歌の正直者がガリレオ・ガリレイだとは限らないけれど、確かな真実が多数決で闇に葬られたり、権力者によって握りつぶされたりする動きというのはあって、正直者が馬鹿を見るということもあります。そこで疲れ果てて諦めてしまう人のことを責めたりはできないし、それでも信念を曲げずに自分が正しいと信じた道をゆく人も立派です。
 私はガリレオ・ガリレイをイメージしましたけど、正直者の彼がどんな人物なのかを読者に委ねて想像させる力のあるお歌だと思います。