本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ⑥草薙さん

 草薙さんは、うたの日の仲良し6人組の短歌ユニット・たんたん拍子のメンバーでもあり、個人でも、今年の角川短歌賞の予選を通過されたりと、ご活躍です。角川短歌賞については、「お願いですから消印押してください!」と頼みこんで23時59分に郵便局に提出したそうで、ものすごい強運の持ち主なのではないかと。新年のたんたん拍子さん主催の歌会でお会いできるので、幸運を分けてもらってきます。
 うたの日のお歌は、美術の勉強をされているというだけあって、視覚的に訴えてくるお歌が多いように思います。


死は白い 喪服の黒のその中でつるりと光るわたしのかかと/草薙 2019年4月4日お題「死」


 初句で、死は白いと断言しています。その根拠として、お通夜かお葬式の黒い喪服姿の人たちで埋め尽くされる中、つるりと光るわたしのかかとだけが白いから、だというわけです。
 おそらく、主体は、もう既に死んでしまっていて、霊魂が自分の遺体を見ている場面なのでしょう。自分の死によって、主体は、生きているときには気づかなかったけど、死は白いという実感を得たのです。
 人が亡くなっている、しかも自分が死んでいる場面なのだから、本当は、深い哀しみに沈んでいそうですが、参列者や主体自身の感情を一切描写せずに、淡々と、目に見える状況を、それも、色だけに注目している点がとても独特だと思います。
 やがて、遺体は焼かれて骨になるけれど、骨も白い。死は白いという初句には、強い説得力があります。
 主体のように一歩引いて死を見つめることができたら、死を怖れずにすむのかもしれません。