本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ⑦鈴木智子さん

 鈴木智子さんは、かばんに所属されていて、地元の茨城県の短歌を盛り上げるために活動されたり、東京の歌会にもよく参加されたり、イラン留学の経験を詠んだ作品を発表されたり、精力的に活動されています。第一歌集の『砂漠の庭師』も発売中。写真を撮ったりイラストを描かれたりもしています。
 うたの日には、それほど多くは出詠されていないんですが、特にいいなあと思ったのがこちらのお歌です。


(反対の意見もあるよ)言い聞かせ右に曲がれば桜がきれい/鈴木智子 2019年3月26日お題「意」


 うん、そうだよなあ、反対の意見になることもあるよなあと思わせる初句と二句は、( )が効いていると思います。声に出したのではなく、主体の心の中で言い聞かせているのでしょう。自分自身にそう言い聞かせているとはいえ、たぶん、この時点では、自分と反対の意見を受け入れることにまだ迷いがあったのではないでしょうか。
 そして、まっすぐ進んだ道を右に曲がった時、きれいな桜が目に飛び込んできた。ここで初めて、主体は、自分の意見だけを押し通さずに、反対の意見にも耳を傾けた自分の態度は正しかったのだと確信できたのではないかと思います。
 自分の意見だけでなく、相手の意見、それも、自分とは反対の意見もあって当たり前だと思うことができれば、争いなんて起こらずに、みんなできれいな桜を見ることも可能なのかもしれません。