本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第9グループ③こいのぼりさん

 こいのぼりさんは、2017年8月からうたの日にいらっしゃるけれど、あまり出詠数は多くなく全部で252首でした。全体的に恋のお歌が多めだなという印象です。今日も恋のお歌を紹介したいと思います。



君が好き そう思うたび長くなる夜はどこまで続くのだろう/こいのぼり 2019年9月8日・お題「夜」


 短歌を始めてしばらくすると、知識も増えて、技術も上達してきて、だんだん、素直な表現を避けがちになってくる人が多いと思うんですけど、このお歌はとてもストレートなお歌です。
 初句でいきなり君が好きと断言し、一字空けることで、さらに強調されていると思います。
 恋をしていると、何をしていても好きな相手のことが頭に浮かんでしまうということってあると思うんですけど、特に、一日のやるべきことを終えた夜というのは、ずっと好きな人のことを思って、考えすぎて眠れなくなる。眠れないから、夜を長く感じてしまう。恋をしたことのある人なら誰でも経験しているであろうことが詠まれているので、読者は共感しやすいと思います。
 そんな夜がどこまで続くのかは主体自身にもわからないということは、おそらく、まだ、主体の恋は始まったばかりなのではないでしょうか。そして、たぶん、まだその気持ちを君には伝えられていない。主体が君のことを好きで、その気持ちはこれからもまだまだ続くのだということが伝わります。
 主体の気持ちが君に届いて、長かった夜もあっという間に感じるほど、君と電話やメールやLINEなんかのやり取りができるようになるといいなあと、応援したくなるお歌でした。