本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第4グループ③葵の助さん

 葵の助さんは、なんと、2014年の11月からずっとうたの日にいらっしゃる大先輩なんだけれど、とても気さくな方で、歌歴の壁を感じさせずに接してくださいます。
 ふたりの男の子のお母さんで家事に育児に奮闘されながら詠まれている葵の助さんの短歌は作風がとても幅広くて、読んでいてとても楽しかったです。家族詠や恋のお歌やちょっと毒のあるお歌など、1000首以上あるお歌はどれも魅力的だったんですけど、今回は、まだ私がうたの日にいなかった頃に詠まれたこちらのお歌を引かせていただきます。


ポケットにあったキャラメル置いてくね ありがとうって言いそびれたし/葵の助 2015年3月9日お題「ありがとう」


 このお題に対して、ありがとうと誰かに伝えている場面ではなくて、ありがとうを言いそびれた場面を切り取られたところがとてもいいなと思いました。
 誰に対するお礼なのかはわからないけれど、ありがとうと言いそびれても許してもらえる関係なのも素敵ですし、主体自身はそれを気にしていて、何かお礼はできないだろうかと、ポケットにあったキャラメルを置いてゆく。わざわざ買ったのではなくてポケットにあったキャラメルだから、相手に気を遣わせることもない。主体はきっと、人一倍、周囲の人に気を遣って生きている優しい人なのではないのだろうかと思いました。