本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

第2回 ベストヒットおとの日♪・6 エルドラドさん

 間が空いてしまいましたが、第2回です。

 6番目のエルドラドさんには7首のおとの日のお歌がありまして、今日紹介するのはこちらのお歌です。


納豆をまぜてる彼のしつこさに恋の終わりをしみじみ悟る/エルドラド

2021年12月3日・お題「納豆」


 恋人である彼のしつこさを表現するための具体的な彼の行動として、納豆をまぜてるところが詠み込まれています。しつこいと思ってしまうくらいだから、彼はすごく時間をかけて納豆をかきまぜる人なのだろうと思います。ただ、納豆をかきまぜるベストな回数って人により好みがかなり分かれると思うのです。

 たぶん主体はあまりたくさんかきまぜるのが好きではなくて、でも、彼のことが好きで仕方ないうちは彼の食の好みに合わせてよくかきまぜられた納豆を一緒に食べるのも苦にならなかったのではないでしょうか。

 納豆をかきまぜる回数が年月の経過と共に変わるとは考えられにくいので、彼の方が変わってしまったのではなく、主体の気持ちの方が変わっていったのだと思います。彼の納豆のまぜ方ひとつを見てもしつこいと感じてしまうくらいに。

 おそらく、納豆で彼の見せるしつこさを主体は彼の他の言動からも感じ取ってしまうようになったのではないでしょうか。それは彼と一緒に生活する前には気付かなかった彼の欠点であり、今の主体にはもう彼の欠点も含めてまるごと彼を愛することができなくなったのだと思います。主体も自覚しています。 

 納豆ひとつですれ違っているふたりを想像させることのできる、お題をすごくよく活かしているお歌だと思いました。